2019年12月12日、弊社代表取締役 Y.P.Jouが、日本特許庁の「経営における知的財産戦略事例集(以下「事例集」)」にて取材を受けました。取材にいらっしゃったのは、知的財產研究所の松尾望氏でした。
昨年も日本特許庁からの取材がありましたが、当時Jou代表がインタビューに答えた内容が特許庁のhpに掲載されています 。
今回の取材では、松尾望氏はまず、2019年度の特許庁の取材方針について説明しました。
松尾望氏によれば、昨年の2018年度の『事例集』では、日本国内外の企業各50社を対象とするヒアリング調査の結果をまとめていますが、内容は主に知財活動の概要的なものです(調査実施事業者:PwCコンサルティング合同会社)。知財分野で注目すべき企業の知財戦略や、知財に対する経営層の考え方を知るために、特許庁は今年度は、更に昨年の調査対象者の中から30社(国内外の企業各15社)を選び出し、知財活動に関する調査を行っています。
知的財產研究所の推薦により、弊社Jou代表が海外企業の15選に選ばれたということです。
日本特許庁は、今年の夏、東京、名古屋、大阪で開催した「経営・知的財産戦略フォーラム」で企業の経営層や知財担当者向けに『事例集』を紹介し、アンケート調査を行いました。
松尾望氏によれば、調査の結果、日本企業にとって最も重要な知財活動としては、特許の出願・権利化のほか、ポートフォリオマネジメント、訴訟リスクの軽減、知財情報マネジメント、社内知財教育などが挙げられるとのことです。これに対し、Jou代表は30年以上の知財実務経験を踏まえ、多くの日本企業の直面している知財課題について次の4点を指摘しました。
多くの日本企業が直面している知財課題
- 必要以上に国内出願を行う一方、海外市場に進出するための国際出願が少ない
- 低品質の翻訳により、特許権侵害訴訟や特許無効審判におけるリスクが高まる
- 世界規模の大型特許事務所が少ない中、大規模の知財活動は難しい
- ポートフォリオマネジメントの人材が足りない
上記の点について、かつて日本企業で知財部長を務められた松尾望氏も同感でした。Jou代表は更に「日本は優れた研究人材が多く、屈指の技術力を誇っています。特許権利化のノウハウが分かれば、更なるグローバル展開が期待できます。日本企業は国際競争力を高めるために前述した課題を解決し、海外特許出願を強化しなければならない」と述べました。
Jou代表は、日本へ長期出張の際、パナソニック、キヤノン、ソニーなどの大手企業に知財管理の方法をプレゼンしたことがあります。日頃から繰り返し強調しているのは、知財管理は日本限定の課題でなく、世界共通の課題として捉える必要があるということである。具体的には次の3点である。
多くの日本企業が直面している知財課題
- 特許価値を評価する仕組みの構築
- 特許管理の各フェーズ間の連携性の確保
- 特許管理を支えるビッグデータの活用
ビッグデータを活用した科学的根拠に基づく知財戦略立案
この3つの課題を解決するため、Jou代表は次の管理モデルを提出しています。
この管理モデルでは、特許ライフサイクルの各フェーズにおける活動はビッグデータに支えられており、各フェーズを評価するための指標が設けられています。
特許ライフサイクルはビッグデータによって支えられます。ビッグデータを活用すれば、市場動向を即時に把握できるだけでなく、研究費等予算配分を最適化し、特許収益化を最大限にすることができます。
16年の歳月の結晶であるPatentcloud
特許ライフサイクルのどのフェーズにおいても、特許の品質と価値を迅速に把握することが重要です。しかし、品質の優劣、価値の高低は相対的な概念で、他の特許と比較しなければ分からないものです。目視で特許文献を読んでどう違うかを確認するのに膨大な時間がかかります。
こうした実態を改善するため、Jou代表はInQuartikを設立し、知財総合インテリジェンス・プラットフォームPatentcloudを作り、特許の質と価値を客観的かつ自動的に評価できる独自アルゴリズムを開発しました。
取材の終わり頃、Jou代表は次のように強調しました。「煩雑な特許比較分析をAIに任せ、人間はAIによる分析結果の解読と特許戦略の練り上げに専念するのです。」次世代の知財管理を実現するため、日本は勿論、全世界の知財担当者がAIを導入した特許分析ツールを使いこなせなければなりません。また同時に、新しい価値を創出するためのデータ分析力を身につける必要があることを改めて指摘しました。