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【Due Diligenceで調べました Vol.3】TDKの布陣:二次電池事業について Part2

8月 18th, 2020|

【Due Diligenceで調べました Vol.3】TDKの布陣:二次電池事業について Part2 前回の続きです。前回では、二次電池分野におけるTDKの「布陣」を見ました。Due DiligenceでTDKの二次電池に関する特許ポートフォリオを調査した結果、次の2点が明らかになりました。 TDKが保有している関連分野の特許(出願及び存続中の特許を含む)のうち、共同出願は全体のわずか4%である。TDKは二次電池関連分野において独自の開発技術を持っていると言える。 2020~30年の10年間でTDKの所有している関連分野の存続特許件数の減少が緩やかであり、二次電池市場への影響は続くものと判断される。 こうした結果を踏まえて前回では、TDKは二次電池技術において優位を維持する可能性が十分あることを指摘しました。ここでもう少し考えたいのは、二次電池技術におけるTDKの「布陣」がどれほど強いものか、言い換えればTDKの二次電池技術が競合他社にとってどれほど大きな存在となるか、更に言えば、経済的利益をもたらす可能性があるか、ということです。二次電池技術におけるTDKの強さを確認するため、今回は引用情報の観点から分析します。同じくDue Diligenceを利用して調べます。 ここで引用情報、特に引用回数に注目する理由は次の通りです。まず、図1のように、引用回数は重要な特許評価指標の一つで、複数の特許評価モデルに用いられています。 図1 特許の格付け指標 出典:特許評価手法より [クリックして拡大] 引用回数は「審査官引用回数(審査官前方引用件数)」と「出願人引用回数(出願人前方引用件数)」の二つに細分類できます。例えば、審査官引用回数は、当該の特許が後続出願の審査において拒絶材料として審査官に引用された回数のことですが、審査官引用の回数に基づき、当該の特許がどれくらいの他社の後発技術の権利化を阻害するか、即ちその特許出願は他社に対して牽制効果を発揮するかを推測できます。 一方、米国では、出願人引用回数(つまり出願人による引用の回数)はしばしば特許評価の指標の一つとされています。山田(2010)の指摘のように、出願人による引用回数の多い特許は、多くの出願人がその技術の有効性に触発されて新しいイノベーションの契機を見出していることを意味するので、価値の高い特許であると考えられます(注:山田節夫(2010)「審査官引用は重要か―特許価値判別指標としての被引用回数の有用性―」『経済研究』61-3、203-216)。多くの出願人に引用される特許は、他社からの注目度が高いといえるでしょう。 このように、引用回数、つまり前述した審査官引用回数と出願人引用回数を通じて、他社における当該特許の位置付け、言い換えれば、当該の特許が他社にとってどんな存在かを推測できます。そのために、膨大な特許情報から効率よく引用情報を抽出するのは非常に肝心なことです。以下、TDKの二次電池の特許ポートフォリオを引用している出願人、出願人ごとの被引用回数等を利用し、特許の収益化の可能性を示す手がかりを見つける方法を紹介します。 ではまず、TDKの二次電池関連特許ポートフォリオを引用している出願人(企業)のランキングを確認しましょう。 [...]

【Due Diligenceで調べました Vol.3】TDKの布陣:二次電池事業について Part1

7月 17th, 2020|

【Due Diligenceで調べました Vol.3】TDKの布陣:二次電池事業について Part1 TDK株式会社は、2020年5月15日に2020年3月期の連結業績を発表しました。2020年3月期通期決算によると、TDKは全体的に営業利益が減少しました(図1)。 図1 2020年3月期 連結業績概要 (出典:TDK株式会社2020年3月期連結業績概要より) 前述の利益減少の背景には、米中関係の悪化、及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、各国の経済活動が停滞し、電子機器の生産、電子部品の需要が減少したことが指摘されています。 ここで注目したいのは、こうした不景気の中、エナジー応用製品事業が売上全体の44%を占めており、同社の大黒柱となっていることです(図2)。 図2 TDK株式会社2020年3月通期連結売上の内訳 (出典:TDK株式会社2020年3月期連結業績概要より作成) 図3のように、エナジー応用製品事業の売上は、前期比11.2%増となっています。売上好調の要因は、二次電池の売上の増加にあることがわかります。 図3 2020年3月期各事業の状況(エナジー応用製品事業) (出典:TDK株式会社2020年3月期連結業績概要より) 二次電池は、スマホ、タブレット、ノートPCなどのモバイル端末のほか、ゲーム機、ミニセル製品などにも用いられています。様々な製品に必要な二次電池はTDKの売上を支えていると言えます。 ここで一つ疑問があります。TDKの二次電池事業の好調は単なる偶然かということです。 [...]

【Due Diligenceで調べましたVol.1】トヨタ自動車の底力!

6月 22nd, 2020|

【Due Diligenceで調べました Vol.1】トヨタ自動車の底力!ー自動運転についてー 今、自動車業界では、自動運転システムを備えた自動車の開発が目覚ましい進展を見せています。完全な自動運転の実現が現実味を帯びてきましたが、解決すべき課題として制御関連の支援技術の向上などが取り上げられます。 ところで、下記のように、世界的に注目されている自動運転の領域では、トヨタは日本のトップを走り続けています。下記は1986~2019年の自動運転関連特許の出願人ランキング(日本国内)です。 図1 出願人のランキング (オプトロニクス社2019年の調査より) さて、前述した制御関連の支援技術ですが、「通信システム」「障害物認識システム」「走行支援システム」の三つにまたがっています。 ・通信システム: 安全運転支援システムの一つで、車車間通信(車載通信機間の通信のこと)、路車間通信(路側通信機と車載通信機との間の通信)、歩車間通信(歩行者端末と車載端末との間の通信)を含む。 ・障害物認識システム: カメラ、レーダなどを搭載し、ドライバーの安全運転をサポートするシステム。 ・走行支援システム: 警報や運転操作の支援により危険回避など安全・快適な運転を支援するシステムで、速度の制御、操舵制御、姿勢制御などを含む。 [...]

弊社代表取締役Y.P. Jou が日本特許庁「事例集」にて取材を受けました

5月 7th, 2020|

2019年12月12日、弊社代表取締役 Y.P.Jouが、日本特許庁の「経営における知的財産戦略事例集(以下「事例集」)」にて取材を受けました。取材にいらっしゃったのは、知的財產研究所の松尾望氏でした。 InQuartik/ ScienBiziP代表取締役 Y.P. Jou 知的財產研究所研究員松尾望氏 昨年も日本特許庁からの取材がありましたが、当時Jou代表がインタビューに答えた内容が特許庁のhpに掲載されています 。 今回の取材では、松尾望氏はまず、2019年度の特許庁の取材方針について説明しました。 松尾望氏によれば、昨年の2018年度の『事例集』では、日本国内外の企業各50社を対象とするヒアリング調査の結果をまとめていますが、内容は主に知財活動の概要的なものです(調査実施事業者:PwCコンサルティング合同会社)。知財分野で注目すべき企業の知財戦略や、知財に対する経営層の考え方を知るために、特許庁は今年度は、更に昨年の調査対象者の中から30社(国内外の企業各15社)を選び出し、知財活動に関する調査を行っています。 知的財產研究所の推薦により、弊社Jou代表が海外企業の15選に選ばれたということです。 日本特許庁は、今年の夏、東京、名古屋、大阪で開催した「経営・知的財産戦略フォーラム」で企業の経営層や知財担当者向けに『事例集』を紹介し、アンケート調査を行いました。 [...]

人工知能と知的財産権――人工知能(AI)ソリューションと知的財産(IP)業界に関する見解

12月 27th, 2019|

人工知能と知的財産権――人工知能(AI)ソリューションと知的財産(IP)業界に関する見解 概要: 人工知能および知的財産が現在多くの業界を変革している。 人工知能によるビッグデータ分析とワンクリック式ソリューションが既に知的財産の分野に応用されている。 将来、人工知能が持続的に知的財産関連の作業を再構築する可能性が非常に高。 人工知能を受け入れられない人々よりも、人工知能と新たな方法を受け入れられる人々の方が優位である。 人工知能(AI)は間違いなく我々を取り囲む世界を変革し、ほぼ全ての業界に影響を及ぼします。 人工知能は知的財産(IP)の分野に特に影響をもたらしており、 ビッグデータを可視化する作業に応用されています。 一方で、ワンクリック式ソリューションは、過去これまでの数多くの重複作業を改善して、実行可能な情報をリアルタイムに提供します。 人工知能は知財業界において益々重要な役割を果たすことになります。従来の方法に固執せずにこの巨大な変化を受け入れれば、特有の優位性が獲得できます。 人工知能と知的財産の時代において成功を収める方法とは ここで、人工知能と知的財産に対する見解と観察結果をいくつか共有したいと思います。 この文章を読む知的財産の専門家がさらに容易に作業において成功を収める(人に後れを取ることではなく)ことができるよう、とりわけ人工知能が知的財産業界を変革している重要な項目を五つ述べたいと思います。 1. 人工知能の時代において、データの品質が極めて重要。 率直に言えば、これまでの知的財産業界において、ごく一部の人しかデータ品質の重要性を理解して、これを知的財産業務の基礎とすることができませんでした。 しかし、今、知的財産の専門家はデータ品質の重要性に気づき始めました。 最も主要な機関 [...]

【企業経営における知財管理 Vol.2】特許ライフサイクル管理の最初のステップとなる準備段階

6月 18th, 2019|

特許ライフサイクル管理の流れ 前回の記事【企業経営における知財管理 Vol.1 特許ライフサイクル管理とは】では、特許ライフサイクル管理の意味及びそれが重要な特許活動になる理由について説明しました。そのメリットとして、投資収益率を最大限にし、特許発行後の維持費用を削減することができる等が挙げられます。 準備段階における4つの作業 上記の図が示すように、準備段階は主に次の4つの作業から成り立ちます。以下順に、それぞれの作業内容を紹介します。 先行技術調査 公知技術調査 展開戦略 出願前調査 先行技術調査 先行技術調査 は、既知情報を把握するために不可欠なものであり、特許出願において最も最初に行う、重要な作業です。 その目的をまとめると次のようになります。 新規性、進歩性の確認 技術動向の把握、技術予測 他社の特許侵害の可能性の検討 無効資料の発見 知的デューデリジェンス(知財価値評価) 先行技術調査には調査目的によってさらにいくつかの種類があります。 [...]

【企業経営における知財管理 Vol.1】特許ライフサイクル管理とは

6月 6th, 2019|

企業経営における知財管理:特許ライフサイクル管理とは なぜそれが必要なのか 「特許ライフサイクル管理(patent lifecycle management)とは何か」を考える前に、まず 「なぜそれが必要なのか」を考えておきましょう。 ご存じのように、特許権の存続期間は、日本を含め世界の多くの国では出願日から20年です (延長などの場合を除く)。 留意したいのは、 特許期間満了までの 20年の間に新しい技術がどんどん生まれてきて、 今なお世界を変え続けていることです。 例えば、下記は2018年における欧州特許庁(EPO)の分野別出願件数トップ10です。ご覧の通り、出願件数トップ10のうち、9つの分野では出願件数が前年より増えています。科学技術は驚くべき速さで発展していると言えます。 2018年における欧州特許庁(EPO)の分野別出願件数トップ10(EPO Annual Report 2018 をご参照) 言うまでもなく、 科学技術の進歩はビジネスに多大な影響を及ぼします。そこで、競合他社とどのように差別化を図ればよいかは 重要な課題になります。 多様な課題を抱える企業は、持続的な成長を実現し、 [...]